こんにちは、encycloの水田です。
私たちは、がん経験者の水田と、がん患者支援経験のある齋藤のふたりが、「すべての人の、美しくありたい想いを解放する」という同じ夢に向かって、意気投合して立ち上げた会社です。
この話をすると、「その組み合わせっておもしろいね!」と言っていただくことが多く、私たちの特徴なのかなと思っています。
背景もキャリアも違う私たちのストーリーをお伝えさせてください。
念願だったビューティーを創る仕事、そして、29歳でがん罹患
私は、学生の頃から少しの工夫でなりたい自分に近づけるコスメやメイクに夢中でした。まつげの角度がちょっと違うだけで、リップの色味をちょっと変えるだけで、昨日とは全然違う自分に出会えるなんて、何て夢があるんだろう…!
自分をワクワクさせてくれたり、自信をつけてくれたコスメの世界で働きたいと思い、新卒で化粧品会社に入社。念願だった商品企画の仕事に邁進していました。
ところが、働き盛りの29歳のときにがんが発覚。仕事を休職して、入院・治療をすることになりました。
生涯続く後遺症「リンパ浮腫」に直面
治療は約半年で無事に終了。元の職場にも復帰することができました。
徐々に健康を取り戻していきましたが、しばらく経って手術の影響で脚が腫れてしまう「リンパ浮腫」という後遺症の症状が出てきました。
リンパ浮腫は、完治させるのが難しく、悪化させないためには、毎日の生活で脚に負担がかからないように気を配る必要があります。
締め付けるようなタイトな洋服や、つま先の細い靴は避ける、日焼けや虫刺されで炎症を起こさないように、夏でもなるべく肌は出さない…などなど、病院ですすめられたリンパ浮腫の本には、ファッションに関するたくさんの禁止事項が並んでいました。
さらに、いちばんショックだったのは、悪化を防ぐために、常に、医療用の分厚いストッキングを履かなくてはいけないということ。脚の見えるサンダルやスカートはもう履けないのか…。
治療を終えて、徐々に普通の生活に戻れると思っていた私にとって、「この先一生、脚のことを最優先に考えて、暮らしていくんだ」ということは、とても心が落ち込むことでした。
禁止事項に当てはまる洋服や靴はクローゼットの奥に封印、ショッピングに行っても、脚の負担にならないもの、ストッキングが目立ちにくい服や靴を消去法で選ぶようになっていました。
少し寂しい気持ちもあったけど、「命が助かって、日常生活に支障がないなら、贅沢言っちゃいけない」と飲み込んでいたような気がします。
その後、友人のつながりや患者会などをきっかけに、同じ病気や後遺症を経験した友人に出会うことが出来ました。
「病気をしてからは、前みたいにおしゃれを楽しむことは諦めてる」というのは、私だけではありませんでした。
不便があってもビューティーをあきらめたくない
以前と同じように化粧品の企画・開発の仕事をしながらも、「自分自身や周りの友人が、美容やおしゃれを愉しめずにいる」ということが頭のどこかに引っかかっていました。
小さなモヤモヤでしたが、時間が経つにつれ、モノづくりに関わってきたキャリアを活かして、不便がある人でもビューティーを愉しめるようにすることに、人生の時間を使えたら…と思うようになったのです。
ひとりひとり不便は違うし、自分が出来る範囲は本当に小さい、でもまずは自分や近しい人のために、ちょっとした工夫で、もう一度ビューティーを愉しめる商品をつくってみたい。
そんな風に考え、まずは家族や友人、仲の良い人に少しづつ想いを打ち明け始めました。
そんな時に、のちに共同創業者となる齋藤と話す機会があったのです。